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背表紙の話1

表紙用の原稿の作り方とかそんなかんじの話です。

漫画を描く方なら表紙を作るのにさほど悩まないんじゃないかと思うんですが、小説書きだと表紙というのはもうかなり未知の領域で、原稿サイズと言われてもよくわからないからこのまま入稿しちゃう!なんか駄目なことがあったら連絡くれるだろ……くらいに思っていることもあるんじゃないかと思います。

 

ギリギリ納期の時にそういう不備連絡があってやり直さなくてはけないのは怖いので、ちゃんとした原稿の作り方を予習しておきましょうという話ですね。

 

基本的な話

同人誌の表紙サイズは、縦はご希望の判型の縦の長さで固定ですが、横幅は判型の「横幅×2+背幅」になります。

横幅×2なのは表紙と裏表紙の横幅分、という意味です。

それに背表紙の幅を足し合わせたものが表紙の幅になります。

具体的に言わないとわかりにくいかもしれないのでA5サイズを例としますが、A5本の表紙は横148m

m縦210mmという大きさです。

もちろん、本文と同じように判型に合わせたサイズで表紙と裏表紙をそれぞれ作ってもいいのですが、そうすると背表紙はどうなるの?問題が発生します。

もともと白背景で背表紙は原稿が無くても真っ白になる予定のものなら、背表紙の原稿も不要です。

たとえばなんかこう……こういう表紙の原稿があったとして、背表紙も裏表紙も真っ白で良いのであれば、表紙1だけ入稿して、裏表紙は白ですとかなんかとか書いておいていただければ安心して作業が進められます。

 

出来上がりはこの場合こういう感じになります。

背表紙の必要あるなし

背表紙を白くしたいときには背表紙データは無くていい、というのが基本と言えば基本なのですが、表紙または裏表紙に塗り足しがあるときどういう風になるのか、というのを説明します。

塗り足しというのは、絵柄が印刷面の端からはみ出ている場合に白い線が出ないように3mmぶん大きめに足しておくところです。

ここではてっとり早くベタ塗りとしていますが、絵柄が一部かかっているとかストライプ模様がかかっているとかでも全く同じです。

こういう表紙と

こういう裏表紙があった時 

背幅が塗り足しの合計値である6mmより小さいときにはこう……背表紙の幅は説明のためにかなり大きく表現していますが、左右の塗り足しが背表紙に侵食してくる感じになります。

なので、表も裏も同色であるとか、真ん中でぴったり合わせれば絵柄が続くとか、もともとこういう意図であるとかの時はそのまま背表紙原稿なしというのもありだとおもいます。

背幅が3mm以下の本の時は背表紙の原稿を作ってもほんの少しのズレで却って格好が悪くなってしまうので、こういうやり方の方が綺麗な本になる場合が多いです。

 

ただ、背幅が6mmを超える本だったり、それより薄くても3mmよりは大きい本だったりすると、白い線が真ん中あたりに入ってしまう可能性もあります。

綺麗に中心に入るとも限らず、ちょっとずれたところに線が入ると結構目立ちますし、白が入らなくても表と裏の絵柄の境界線がぴったり中心に来るとはお約束できないので、背中を見て絵柄がわかるくらい厚みのある本だと、ちょっと残念な感じに見えるかもしれません。

こうなってしまわないようなるべく背表紙の原稿があった方が望ましいということになります。

こういう感じで、背幅mmまたは背幅+6mmの横幅で作ってください。

2mm+6mmとか、塗り足しの方が多くて変な感じがするかもしれませんが、それで正しいので!

背表紙データがあれば、そのデザインが背表紙に入ります。

背幅については背幅計算機 https://rururu-p.com/sehaba で算出できます。

こう……なんか、ピザが食べたくなってきました。

オンデマンドのトナーは折れにわりと弱いのです

と、ここまできっぱりくっきり緑とか赤で塗り足しのある原稿風のイラストで説明してきましたが、オンデマンド印刷に使うトナーはインクと比べて折れや擦れに弱く、背表紙の折るところギリギリに濃い赤や緑があるといトナーが剥がれて白い部分に着いたりして、あまりよろしくないことになったりします。

そうでなくても、印刷や製本の工程上若干のずれが発生することはあるので(そのときの保険として塗り足しが必要なのです)表紙濃緑背表紙真っ白!とすると、背表紙の端っこにちょっと緑が入り込んでしまう本があったり、逆に表紙の端にちょっとだけ白が入り込んでしまったりする本もあります。

 

なんというかこう……表紙の端に背表紙と同じ色を少し入れてしまうという強引なデザインにすると、ちょっとノートみたいな感じになりますが白ければトナー剥がれの心配はない!!という一点に於いては強いかなと思います。(文鳥とペンギンはどっかいきました……入れるの忘れてたら国旗感がマシマシ)

 

これは極端な例なので、表紙の端に白線が出るのかっこわるい、という意味では背表紙は表紙にちょっと色が乗ってしまってもいい感じに見えるような色目にするのが正解だと思いますが、理屈の上ではこういう作り方をすると剥がれに悩むことが少ないというお話です。

 

横長にして表紙・背表紙・裏表紙という一続きの原稿にするときには中心に背表紙が来ればいいわけですが、表紙はイラストレーターさんに絵をいただいて背表紙と裏表紙は自分で作るという小説書きの方とか、別原稿にしたいときもあると思うので、そういうときの参考に……なる、でしょうか?