オンデマンド印刷が同人界を変えたってホント?
同人誌はどうやって作るのか
同人誌といえば、オフセット印刷かオンデマンド印刷かコピーで作られるのが普通ですね。
オフセット印刷は仕上がりも美しく、商業誌と変わらない完成度の同人誌になりますが、値段が高く、少部数では割高になってしまいます。
オンデマンド印刷はオフセットよりもクオリティは劣るものの、しっかりとした製本で作れて、フルカラーの表紙やページがあっても格安に作れます。少部数にもおすすめです。
コピー本の場合は原稿を作り手が自分でコピー、製本して作るものです。当然手間がかかりますが、好きな冊数だけ作れて無駄がなく、在庫を抱える必要はありません。プリントの質にこだわらなければ、もっとも経費は抑えられるでしょう。
現在出回っている同人誌は、だいたいこの三種類の印刷・製本方法で作られています。
この中でもっとも最近登場したのが、オンデマンド印刷です。
「ちょうど中間」の層にフィットした
オンデマンド印刷ができるようになったのは1990年代。それまでの同人誌は、オフセット印刷かコピーしかありませんでした。
当然、大部数ならオフセット印刷、少部数ならコピーということになりますね。
1980年代はまだ印刷代も高く、オフセット印刷の場合は最低でも100部、印刷所によっては300部からの発注が当たり前でした。
サークルを運営している人ならわかると思いますが、300部といったらかなりの数です。
一般的な多くのサークルが必要とする部数はだいたい10部から50部ぐらいではないでしょうか。
以前は100部以下の部数の場合、コピー本で発行するしか選択肢が無かったのです。
しかし今と違って昔はコピー本を作るのも大変でした。各家庭にコピー機が備わっていたわけではないからです。
コンビニエンスストアも発展していなかった時代、コピー機は印刷所や文具店にしか無く、原稿を持っていって店員さんに手渡しして、とってもらっていました。
当然、相手に原稿を見られてしまうので、ずいぶん恥ずかしい思いをしたものです。
勤務する会社のコピー機が使えたら……ッッ! と、歯噛みしていた同人作家もいるとかいないとか。
少部数印刷が簡単にできる現在
1990年代に入りオンデマンド印刷機が登場すると、印刷所がこの絶妙な部数の印刷を引き受けてくれるようになったのです。
これは画期的な出来事でした。
同時にコンビニエンスストアの数も増え、セルフサービスでコピーがとれるようになり、コピー機も作りやすくなりました。
家庭用のモノクロレーザープリンタはコンビニのコピー機と原理は全く同じですから、これを使ってプリンタ出力で本を作っている人もみかけるようになりました。これにより弱小〜中堅サークルの多くが救われたことは、言うまでもありません。
現在、個人が気軽に同人活動を開始できるようになったのも、少部数印刷が簡単になったからだと筆者は思っています。