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同人誌の頒布、昔は自宅通販がメイン!?

昔はサークル代表者の住所を公開していた

同人誌の奥付、皆さんはきちんと記載していますか?
奥付とは、本の巻末に必ず付けるものです。本のタイトル、発行年月日、サークル名、連絡先、印刷所……などを記載しなければなりません。
奥付は1893年の出版法で記載が義務づけられたものです。
現在は義務ではありませんが、慣習として続いているのだそうです。
同人誌の場合は必ず付けなければなりません。その同人誌の発行に関しての責任の所在を明らかにするためです。
現在、連絡先はメールアドレスやWebサイトのアドレスで良いことになっています。
しかし昔は、サークル代表者の住所などを記載するのが当たり前でした。
まだ個人情報について厳しくなかった時代の話ですが、いま考えるとちょっと怖いですよね。

サークル代表者が手作業で自宅通販

同人の黎明期、まだインターネットもなく、現在ほどイベントの数は多くなかった時代、同人誌の頒布方法のメインは通信販売でした。
1974年創刊の漫画情報誌『ぱふ』(※誌名が『ぱふ』になったのは1979年)や1978年創刊のアニメ雑誌『アニメージュ』などには同人誌紹介のコーナーがありました。
このコーナー宛にサークルが同人誌の見本誌を郵送し、編集部のほうで紹介するのですが、この時に普通に奥付の住所が掲載されていました。
これを見て興味を持った読者は、その雑誌の編集部ではなく記載された住所に手紙を出し、サークルと直接取り引きをして同人誌を送付してもらうのです。
現在でも自宅通販を行っているサークルはあると思いますが、さすがに住所を公開はしていませんよね。
なお、個人情報の保護に関する法律が成立したのは2003年。施行は2005年です。(個人情報保護法は同人誌のような小規模個人の活動には関係ありません)

インターネットや印刷技術の発展にも影響

インターネットが生活の上で欠かせないものとなってからは、同人誌の頒布方法も変わってきました。
同人誌を頒布することをメインに考えて作られた個人通販ポータルが多数存在します。
サークルや作家は自分のサイトやSNSアカウントを持ち、活動状況を報告することで読者にアピールすることができるようにもなりました。
昔はお気に入りのサークルが次のコミケに出るのか出ないのか、新刊はどんな内容なのかということは、郵便で問い合わせなければわからなかったのです。
オンデマンド印刷が少部数の同人誌発行を後押ししたこともあり、個人サークルでも多くの人を呼び込めるようになったのは大きな変化だったと思います。